NPO法人田んぼBLOG
 

『ふゆみずたんぼ』それは、『坂の下の桃源郷』“Winter-flooded rice paddies”. It is the Shangri-La under the slope.

皆さんは、司馬遼太郎の長編小説『坂の上の雲』を御存知でしょう。封建の世から目覚めたばかりの日本が、登って行けば、やがてはそこに手が届くと思い登って行った近代国家・列強というものを「坂の上の雲」に例えた、切なさを込めた題名だということで知られています。

秋田県立大学地域共同センターの谷口吉光教授は『持続可能な社会』における農業・農村の姿とは、足元にこそあるということを強調しています。そして、『坂の上の雲』という近代的な幻想に対して、坂の下にこそ理想郷があるとして、『坂の下の桃源郷』という表現に、農の本質を伝えようと奔走しています。

 当法人の『ふゆみずたんぼ』実験田のある大貫『砂棒(すなぼう)』の地域は、かつて『砂待井(すなまちい)』と『漆棒(うるしぼう)』という風情のある地名が付けられていました。昭和60年代のほ場整備によって、それらは統合され、両方の名前から一字ずつをとって、現在の『砂棒』という地名となったとされています。

砂地の田んぼは、生育がよく、そこで採れた米はおいしいとされています。『砂待井』とは、上流の砂が下流の湿地(井)に集まることを意味しています。つまり、砂待井は、地形的に田んぼが湿地になっていて、上流の砂が流れてくる地域であることを物語っていたのです。また、この集落には『清水尻』という地名もあったとされており、その意味を考えるならば、『砂待井』もまた、谷口先生の言う『坂の下の桃源郷』だったのでしょう。

現在、ラムサール条約湿地になっている伸萠や、北小塩を始めとして田尻で続けられている『ふゆみずたんぼ』ばかりでなく、3.11の東日本大震災から復興した被災地の田んぼも、その地形上『坂の下の桃源郷』そのものであることが分かります。

水が坂の下に流れ込み、その結果として湿地になります。『水のあるところに命がある』という当たり前のことが、生物多様性が豊かな田んぼを育み、命の循環によって、豊かな土ができ、その結果として、集落そのものが持続可能な桃源郷となります。

私たちは、往々にして自身の足元に豊かさがあることを忘れ、他に理想郷を求めがちです。ひとりひとりが、生態系の循環を真っ直ぐな気持ちで受け止め、ひとつひとつの生命力をしっかりと紡いでいくことで『ふゆみずたんぼ』の本質が見えてきます。

 

 

 


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